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2023-08-24
犬を飼う前に
価格の安い犬を飼うということ

犬を飼おうと思った時に、価格で選ぶという方もいるのではないでしょうか。
できるだけ安い価格で入手したいと考えるのはもっともだと思います。
生き物でなければ、安くても問題ないかもしれませんが、生き物であれば飼育コスト削減のために、少ない人数でたくさんの動物を世話していて、十分に管理が行き届いていない可能性も考えられます。必ずしも安いから管理が不十分とは言い切れませんが…

今月、とある大手ペットショップで契約トラブルが続出しているというニュースがありました。
ペットショップから子犬をお迎えしてすぐに、寄生虫により体調を崩して瀕死状態になったことが発端となったトラブルでした。

ネットで検索してみての印象ですが、ニュースになったペットショップに限らず安さを売りにしているペットショップは、トラブルが多い感じがします。
安いから、というだけでなく、店舗ごとのスタッフさん達の質や大手が多いので話題になりやすいこと等もあるかもしれません。
価格が高ければ良い、ということではありませんが、「安い」にはそれなりの理由があるかもしれないことを考えて飼うことを判断してほしいと思います。

ここ数年で、動物愛護管理法省令改正があり、ブリーダーやペットショップで従業員1人当たりが飼育できる頭数の制限や飼育設備のサイズに数値基準が定められたりと、動物を扱うビジネスへの規制が厳しくなっています。

「第3次答申(動物愛護管理法の飼養管理基準に関する省令)の概要」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_r030601_1.pdf

これにより、それまでよりも従業員を増やしたり、飼育設備を見直さなくてはいけなくなったので、飼育コストが上がり、犬の価格は上昇しています。
規制が厳しくなったので、悪質なペット事業者が減るかもしれません。

ただ、安いから悪いと判断することはできません。
例えば、個人で趣味のようにブリーダー業を行っていて安い場合等もあると思います。
また、ミスカラー等、見た目の理由だけで安くなっている場合もあります。

ですが、やはり価格があまりにも安い場合は注意が必要だと思います。
都会ではあまり無いかもしれませんが、青森には定期的に犬猫の移動販売業者が来ます。価格が非常に安いです。

まず、現在は犬猫の移動販売は実質できません。

第一種動物取扱業者の規制(環境省より)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/trader.html

「販売時の対面説明
動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)を販売する場合には、あらかじめ、動物を購入しようとする者に対して、事業所において、その動物の現状を直接見せる(現物確認)と共に、その動物の特徴や適切な飼養方法等について対面で文書(電磁的記録を含む)を用いて説明(対面説明)することが必要となります。(例えばインターネット上のみで売買契約を成立させることは禁止されています。)」

「動物愛護法の改定で実質禁止に。犬の「移動販売」の実態について」(2023年1月23日公開、petanより)
https://petan.jp/dog-mobile-sales/

「販売業者には、購入希望者に対して動物の現物確認、および対面説明するよう義務付けられています。そこに、「事業所内」で現物確認と対面説明をすることと限定が加えられ、2020年6月に施行されました。移動販売は事業所を持たないため、現物確認と対面説明は「現地」でしかできません。よって、実質禁止になったということです。」

追記:「事業所」の定義について、よく調べたところ、定義にあいまいなところがあり、イベント等の短期間であっても事業所として認められる場合があるようです。現在でも行われている犬猫の移動販売については、そういった法の抜け穴を利用しているものと思われます。

私はトレーナーの勉強を始めたあたりの5年程前ですが、犬猫の移動販売を見に行ったことがあります。

なぜか犬を安く売っている事業者は、狭いケージに細かく切った新聞紙を敷き詰めています。
これ、食べるコもいるのでは?と思います。

また、サークル内で、ずっと同じ所を歩き続けている犬や自分の尻尾をずっと追いかけまわしている犬がいます。常同行動と言いますが、犬が強めのストレスを感じているときに、よく見られる行動です。
このようなストレスサインを出した犬が多いです。
移動販売は、大きな会場で、たくさんの人が来ます。この状況は、かなりのストレスだと思いますが、犬達は身を隠すことができません…
移動で、ただでさえ、ストレスだと思うのですが…

そして、ケージの中で寝ている子犬に対して、お客さんに見せるために、スタッフがケージをバンバンたたいて起こしているのを見ました。

痩せたコも多い印象でした。

また、20年程前?だと思うのですが、別の小さな規模の移動販売も見に行ったことがあります。
そこでは、犬猫が上に覗き窓?がついた段ボールに入った状態で販売されていました。
ほとんど10万円以下だった記憶があります。
買っていた人を見ると、展示されていた段ボールのまま連れていく、という感じでした。
当時、私は小学生くらいでしたので、こんな売り方もあるんだな、程度にしか感じていませんでしたが、今考えると衝撃的な販売方法だと思います。

ただ、価格が高ければ良い、とも思いません。
例えば、犬種ごとの理想の基準がJKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)によって定められています。この基準に近ければ価格は高い傾向にあると思います。
一方で、ティーカッププードルや豆柴は、かわいくて人気なので、体が小さい程、価格は高くなる傾向があります。ただ、どちらもJKCでは犬種として認められていません。

ティーカッププードルと豆柴について、注意喚起としてJKCからこんな発表がされています。↓

「ティーカッププードル、豆柴について」(一般社団法人ジャパンケネルクラブより)
https://www.jkc.or.jp/archives/important_notice/17679

「極めて小さなサイズの個体については、この犬種標準から逸脱しているため、犬としての健全性に欠ける場合があるので注意が必要」だそうです。
犬の値段が高ければ良い、とは言えませんね。

というように、価格が安いから、高いから、だけで判断できるものではありませんが、あまりに安すぎる犬は、管理が十分では無い可能性等を考えて購入するかどうかの判断をして欲しいです☆